前回の記事では「PER(株価収益率)」について解説しました。
PERは「企業の利益に対して株価が何倍まで買われているか」を表す指標でした。
今回はPERと並んで重要な指標である
・PBR(株価純資産倍率)
・ROE(自己資本利益率)
について解説していきます。
また、投資家の間では有名な
『PBR=PER×ROE』
という関係式についても分かりやすく解説していきます。
個別株投資をする上で非常に重要な考え方ですので、ぜひ覚えていきましょう!

■ROEとは?
ROE(Return On Equity)は、
自己資本(純資産)を使ってどれだけ効率よく利益を生み出したか
を表す指標です。
計算式は以下の通りです。
ROE=当期純利益 ÷ 自己資本(純資産)
例えば、
- 当期純利益:100億円
- 自己資本:1,000億円
の場合、
ROE=100÷1,000=10%
となります。
つまり、
「株主から預かったお金を使って10%の利益を生み出した」
という意味になります。
一般的には、
- 10%以上 → 優秀
- 15%以上 → 非常に優秀
と言われています。
ROEが高い企業は経営効率が高く、少ない資本で大きな利益を生み出している企業と言えます。
■PBRとは?
PBR(Price Book-value Ratio)は、
株価が企業の純資産に対して何倍まで評価されているか
を表す指標です。
計算式は以下の通りです。
PBR=株価 ÷ 1株当たり純資産(BPS)
例えば、
- 株価:1,000円
- 1株当たり純資産:2,000円
の場合、
PBR=0.5倍
となります。
つまり、
「会社を解散して資産を分配した場合の価値よりも株価の方が安い状態」
とも考えることができます。
そのため、
PBRが1倍を下回る企業は
「割安株」
として注目されることがあります。
■PBR1倍割れ企業が多い日本市場
日本企業を分析していると、
PBRが1倍を下回る企業が多いことに気付きます。
これは、
企業が保有している純資産よりも市場から低く評価されている状態です。
そのため、
「まだ市場から十分に評価されていない企業」
が隠れている可能性もあります。
実際に東京証券取引所も近年、
PBR1倍割れ企業への改善要請を行っています。
ただし、
PBRが低いからといって必ずしも良い投資先とは限りません。
市場が低評価をしている理由がある場合もあるためです。
そこで重要になるのが、
PERやROEなど他の指標と組み合わせて分析することです。
■PBR=PER×ROEとは?
実はPBRは、
PERとROEを掛け合わせたものとして表すことができます。
『PBR=PER×ROE』
投資家の間では非常に有名な式です。
この式を理解すると、
企業がなぜ高く評価されているのか、
なぜ割安なのかを深く分析できるようになります。
■PBR=PER×ROEが成り立つ理由
PBR = PER × ROE
少しだけ式を変形してみます。
PBR = 株価 ÷ 純資産
PER = 株価 ÷ 当期純利益
ROE = 当期純利益 ÷ 純資産
このPERとROEを掛け合わせると、
(株価 ÷ 当期純利益)
×
(当期純利益 ÷ 純資産)
となり、
当期純利益が消えて
株価 ÷ 純資産
つまりPBRになります。
そのため、
PBR = PER × ROE
が成り立ちます。
■PBR=PER×ROEから何が分かるの?
私は企業分析をするとき、
PBRだけを見るのではなく、
PERとROEに分解して考えるようにしています。
【パターン①】
PBR(高い)=PER(高い)×ROE(高い)
- 利益への期待が高い
- 経営効率も高い
理想的な状態です。
市場から高く評価されている優良企業に多く見られます。
ただし、
期待が大きい分、
決算で期待を下回ると株価が大きく下落することもあります。
【パターン②】
PBR(高い)=PER(高い)×ROE(低い)
- 利益への期待が高い
- 経営効率は低い
将来への期待が先行している企業に見られるパターンです。
AI関連企業や新技術関連企業などで見られることがあります。
将来の成長が実現できれば問題ありませんが、
期待を裏切ると株価が急落することもあります。
【パターン③】
PBR(高い)=PER(低い)×ROE(高い)
- 利益への期待は低い
- 経営効率は高い
個人的に面白いと思うパターンです。
市場はまだ高く評価していないものの、
企業自体は効率よく利益を生み出しています。
PERが低い理由を調べる必要はありますが、
まだ市場が気付いていない優良企業かもしれません。
あなたならどの企業を選びますか?
多くの投資家は
「PER高 × ROE高」
の企業を好むかもしれません。
しかし私は、
「PER低 × ROE高」
の企業にも注目しています。
なぜ市場が低評価をしているのかを調べることで、
思わぬ掘り出し物が見つかることもあるからです。
■PBRが低い企業も分析してみよう!
続いて、
PBRが低い企業について見ていきます。
【パターン④】
PBR(低い)=PER(低い)×ROE(高い)
- 利益への期待は低い
- 経営効率は高い
一見すると割安に見える企業です。
市場が何らかの懸念を持っている可能性があります。
その懸念が一時的なものなのか、
本質的な問題なのかを調べることが重要です。
【パターン⑤】
PBR(低い)=PER(低い)×ROE(低い)
- 利益への期待は低い
- 経営効率も低い
日本企業で比較的よく見られるパターンです。
割安に見えても、
業績改善のきっかけがなければ株価が上がらないこともあります。
いわゆる
「割安なまま放置される企業」
には注意が必要です。
【パターン⑥】
PBR(低い)=PER(やや高い)×ROE(かなり低い)
- 利益への期待はある
- 経営効率が非常に低い
特殊なケースです。
事業再建中の企業や赤字から回復途中の企業などで見られます。
ROEが今後改善していくのかを確認することが重要になります。
■私が重視していること
PBRが高い・低いだけでは、
企業の良し悪しを判断することはできません。
大切なのは、
- PER
- PBR
- ROE
- 売上高
- 利益成長率
- キャッシュフロー
- 自己資本比率
- 市場環境や動向
などを総合的に見ることです。
特に
「PBR=PER×ROE」
を分解して理解できると、
企業がなぜ高く評価されているのか、経営効率は良いのか、
なぜ割安なのかなどを一段深く分析できるようになります。
個別株投資に興味がある方は、
ぜひPER・PBR・ROEをセットで確認する習慣を身につけてみてください!
■次におすすめの記事
▶ PER(株価収益率)とは?初心者向けにわかりやすく解説
PERは企業の利益に対して株価が何倍まで買われているかを表す指標です。
今回解説した
- PBR
- ROE
と合わせて確認することで、
「なぜこの企業は高く評価されているのか?」
「なぜ割安なのか?」
をより深く分析できるようになります。
個別株投資をする方はぜひセットで理解しておきましょう。
▶ ファンダメンタルズ分析とは?企業の本当の価値を見極める方法
PER・PBR・ROEはすべてファンダメンタルズ分析で活用される重要な指標です。
企業の売上高や利益、自己資本比率、キャッシュフローなどを総合的に分析することで、企業の本当の実力が見えてきます。
まずは企業分析の全体像を理解したい方はこちらの記事がおすすめです。
当ブログでは、短期売買ではなく、中長期的な視点に基づく株式投資を主なテーマとして取り上げていきます。
免責事項
この記事は、投資収益の保証、特定の商品の勧誘、売買の推奨等を目的としたものではありません。最終的な投資や契約の決定はご自身で判断してください。




コメント