■はじめに

前編では、「自分が投資している商品を知ること」の重要性について紹介しました。
S&P500やオルカンといった人気の投資信託でも、
- 何に投資しているのか
- どのような企業が組み入れられているのか
- どのくらいコストがかかるのか
- 過去にどのような値動きをしてきたのか
を知っておくことは、長期投資を続ける上で非常に重要です。
そして、商品について理解したら、次に考えてほしいことがあります。
それは、「このまま投資を続けたら、将来どのくらいの資産になるのか?」ということです。
毎月5万円を積み立てても、「毎月5万円では全然増えていない……」と感じる時期があるかもしれません。
しかし、長期投資では時間が経つにつれて、少しずつ「自分が入れたお金」だけではなく、「運用によって増えたお金」がさらにお金を生み出す状態になっていきます。
これが、いわゆる「複利の効果」です。
今回は、毎月5万円を積み立てた場合のシミュレーションを見ながら、
- 複利の効果
- 長期投資の時間軸
- NISA貧乏を避ける考え方
- 投資の目的と目標
- 筆者自身の投資目標
- 暴落時にも投資を続ける「握力」
について紹介していきたいと思います。
■毎月5万円積み立て、「年率7%」でシミュレーションしてみる
ここからは、「仮に年率7%で運用できたらどうなるのか」を見てみましょう。
これは将来の運用成果を保証するものではありません。
あくまで、長期投資のイメージを持つためのシミュレーションです。
例えば、毎月5万円を積み立て、年率7%で運用できたと仮定します。
※ここで何故7%かというと、実際、過去20年間の平均年率は以下になっています。
・eMAXIS Slim 米国株式(S&P500):約11%前後
・eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー):約10%前後
そのため、年率7%というのは将来何があるか分からないので、過去20年間の平均年率より低めに設定した方が堅実的だと考えた結果の『年率7%』としてシミュレーションしています。
すると、(つみたてNISA枠で月5万円、年60万円×5年=300万円を投資期間5年の投資元本としている)
| 投資期間 | 投資元本 | 運用後の資産額 | 運用益 |
|---|---|---|---|
| 5年 | 300万円 | 約358万円 | 約58万円 |
| 10年 | 600万円 | 約865万円 | 約265万円 |
| 15年 | 900万円 | 約1,585万円 | 約685万円 |
| 20年 | 1,200万円 | 約2,605万円 | 約1,405万円 |
| 25年 | 1,500万円 | 約4,050万円 | 約2,550万円 |
| 30年 | 1,800万円 | 約6,100万円 | 約4,300万円 |
| 35年 | 2,100万円 | 約9,005万円 | 約6,905万円 |
※年率7%、毎月5万円を月末に積み立て、税金・実際の信託報酬等を考慮しない単純シミュレーションです。実際の運用成果とは異なります。
これを見ると、時間の力が非常に大きいことが分かります。
それでは次に、具体的に10年後から見ていきましょう!
10年後
投資元本は、
5万円 × 12か月 × 10年=600万円です。
年率7%で運用できた場合、資産額は約865万円となります。
つまり、
元本600万円 → 約865万円となり、運用益は約265万円です。
10年間コツコツ積み立てても、まだ「自分が入れたお金」の方が大きい段階です。
20年後
20年間積み立てると、投資元本は、
5万円 × 12か月 × 20年=1,200万円になります。
年率7%で運用できた場合、
約2,600万円まで資産が成長するシミュレーションになります。
つまり、
元本1,200万円 → 約2,600万円です。
運用益だけで約1,400万円になります。
ここまで来ると、
「自分が積み立てたお金」だけではなく、「運用によって増えたお金」
の存在感がかなり大きくなってきます。
30年後
さらに30年間続けた場合、投資元本は、
5万円 × 12か月 × 30年=1,800万円です。
一方、年率7%で運用できた場合の資産額は、約6,100万円となります。
つまり、
元本1,800万円 → 約6,100万円です。運用益は約4,300万円。
ここまで来ると、資産の大部分を「自分が積み立てたお金」ではなく、
「時間をかけて運用によって生まれたお金」が占めるようになります。
■「全然増えない……」と感じる時期こそ重要
長期投資を始めたばかりの頃は、
「毎月5万円も投資しているのに、全然資産が増えない……」と感じるかもしれません。
例えば、毎月5万円を投資している場合、1年間で60万円。5年間でも300万円です。
もちろん大きな金額ではありますが、最初の数年間は「劇的に資産が増えた」という感覚にはなりにくいと思います。
さらに、株式市場が下落している時期なら、
「毎月お金を入れているのに、資産額が減っている」ということも普通に起こります。
ここで、
「投資なんて意味がないのでは?」
「全然増えないからやめよう」
と考えてしまう人もいるかもしれません。しかし、長期投資ではこの時期を乗り越えることが非常に重要です。
■複利の効果はいつから大きくなる?
では、
「複利の効果はいつ頃から実感できるの?」という疑問について考えてみましょう。
実は、複利の効果は投資を始めた瞬間から発生しています。
ただし、最初の頃は元本そのものが小さいため、運用によって増える金額もそれほど大きくありません。
例えば、100万円を年率7%で運用した場合、1年間で増える金額は約7万円です。
しかし、
1,000万円なら約70万円。
3,000万円なら約210万円。
5,000万円なら約350万円。
同じ「年率7%」でも、元本が大きくなるほど、1年間に増える金額は大きくなります。
そのため、
資産形成の序盤は「入金力」が重要で、資産が大きくなってくると「運用益」の存在感がどんどん大きくなる
と考えると分かりやすいでしょう。
毎月5万円の積立では、約19年目あたりから年間の運用益が、それまでに積み立ててきた元本を上回る水準になるシミュレーションです。
つまり、長期投資では、「最初の数年間をどう耐えるか」が非常に重要なのです。
■だからこそ「時間」が最大の武器になる
投資では、「もっと早く始めておけばよかった」という話をよく聞きます。
私自身も投資を始めた頃は、「もっと早く勉強しておけばよかった」と思うことがありました。
しかし、過去に戻ることはできません。
だからこそ大切なのは、「今から何年続けられるか」です。
10年。
20年。
30年。
長く続けるほど、
- 投資元本が増える
- 運用益が増える
- 運用益がさらに運用される
という循環が生まれます。
これが長期投資の大きな魅力です。
■ただし「NISA貧乏」には注意
ここで、非常に重要なことがあります。
それは、
「将来のためだから、できるだけ多く投資すればいい」というわけではないことです。
最近では、「NISA貧乏」という言葉も見かけるようになりました。
NISAは非常に便利な制度ですが、生活費を削ってまで投資する必要はありません。
例えば、
- 貯金がほとんどない
- 急な出費に対応できない
- クレジットカードの支払いが苦しい
- 子どもの教育費など近い将来に必要なお金まで投資している
- 投資を優先することで日々の生活が苦しい
という状態になってしまったら、本末転倒です。
投資は、生活を豊かにするための手段であって、生活を苦しくするための目的ではありません。
■「いくら投資するか」より「無理なく続けられるか」
毎月10万円投資できる人もいれば、
毎月5万円の人もいます。
毎月1万円から始める人もいるでしょう。
大切なのは、「自分が無理なく継続できる金額」を設定することです。
例えば、
「毎月5万円なら生活に無理がない」のであれば、毎月5万円を長く続ける。
もし、「毎月10万円はちょっと苦しい」のであれば、無理に10万円を投資する必要はありません。
投資額を増やすことよりも、途中で投資をやめないことの方が長期的には重要になる場合があります。
■「何のために投資しているのか?」を考える
そして、ここからが今回の記事で一番伝えたいことです。
皆さんは、「なぜ投資をしていますか?」と聞かれて、すぐに答えられるでしょうか。
「老後のため」
「将来のお金が心配だから」
という答えでも、もちろん問題ありません。
しかし、もう一歩踏み込んで、「何年後に、いくら必要なのか?」まで考えてみることをおすすめします。
例えば、
「60歳までに3,000万円作りたい」
「子どもが大学に進学するまでに500万円準備したい」
「55歳で早期リタイアしたい」などです。
目的が明確になると、「今、なぜ投資をしているのか」が分かりやすくなります。
■目的と目標を持つと「握力」が強くなる
私は、長期投資を続ける上で、「投資の握力」という考え方が非常に重要だと思っています。
ここでいう握力とは、
株価が暴落しても、感情に流されずに自分の投資方針を維持する力のことです。
例えば、
「老後のために30年間積み立てる」と決めている人であれば、
株価が一時的に下落したからといって、すぐに投資をやめる必要はありません。
もちろん、投資している商品そのものに問題が発生した場合や、生活環境が大きく変化した場合などは、投資方針を見直す必要があります。
しかし、
「株価が下がったから怖い」という理由だけで売却してしまうのは、長期投資では注意が必要です。
自分が、
「何のために」
「いつまでに」
「いくらを目指して」
投資しているのか。
これが明確になっているほど、相場の短期的な値動きに振り回されにくくなると私は考えています。
■筆者の投資目的と目標
ここで少し、私自身の話をしたいと思います。
私が投資を続けている大きな目的は、「将来、自由な時間を増やしたい」ということです。
そのために、まずは株式投資による資産だけで、
1億円を目指しています。
1億円を年率7%で運用できれば、年間約700万円の運用益になります。
もちろん、毎年7%のリターンが得られる保証はありません。
また、運用益がそのまま「年収」のように毎年安定して得られるわけでもありません。
あくまで、「資産1億円 × 年率7%=年間700万円」という単純計算による目安です。
そして、その先の目標として、1.5億円を目指しています。
1.5億円を年率7%で運用すると、年間約1,050万円の運用益になります。
私はこの水準を一つの目安として、
「働き続けなければ生活できない」という状態から少しずつ自由になりたいと考えています。
■55歳で早期リタイアを目指す
私の最終的な目標は、55歳で早期リタイアし、自由な時間を増やすことです。
そのために、55歳までに1.5億円という目標を設定しています。
もちろん、将来の株価や収入、生活費などは分かりません。
そのため、1.5億円という数字が必ず達成できるとは考えていません。
しかし、
「55歳までに1.5億円」という具体的な目標があることで、
「今、なぜ投資をしているのか」が明確になります。
毎月の積立投資も、「ただNISAをやっている」のではなく、
「55歳で自由な時間を増やすための資産形成をしている」と考えることができます。
この違いは、長期投資を続ける上で非常に大きいと思っています。
■資産が1億円・1.5億円になったらどうする?
では、目標金額に到達した後はどうするのでしょうか。
私は、「すべて売却して現金化する」という考えではありません。
むしろ、資産を運用しながら、必要な分だけ少しずつ取り崩していくことを考えています。
例えば、年率5%程度の取り崩しを一つの目安として考えています。
1.5億円の場合、1.5億円 × 5% = 年間750万円となります。
ただし、実際の取り崩し率については、
- 市場環境
- 生活費
- 年金
- 税金
- インフレ
- 資産配分
- 寿命
など、様々な要素を考える必要があります。
そのため、「5%取り崩せば絶対に大丈夫」という意味ではありません。
あくまで私自身が現在考えている一つの目安です。
■「何となくNISA」から「目的を持ったNISA」へ
NISAは非常に便利な制度です。
しかし、
「みんながやっているから」
「S&P500が人気だから」
という理由だけで続けるのではなく、「自分は何のために投資しているのか?」を一度考えてみてください。
例えば、
「20年後に3,000万円作りたい」という目標があるなら、
毎月いくら積み立てるのか。
どのような資産に投資するのか。
どの程度のリスクを取るのか。
暴落したときにはどうするのか。
ということを考えやすくなります。
目標があることで、投資が単なる「貯金の代わり」ではなく、
「将来の自分の生活を作るための手段」に変わっていくのです。
■暴落したときこそ「なぜ投資しているのか」を思い出す
長期投資をしていれば、いつか大きな暴落を経験する可能性があります。
そんなとき、
「もうダメだ」
「全部売った方がいい」
と思ってしまうかもしれません。
そんなときこそ、
「自分は何を持っているのか?」
「なぜ投資しているのか?」
「いつまで投資する予定なのか?」
を思い出してみてください。
もし、
「長期的な資産形成のため」
「20年後、30年後に使うため」
と決めているのであれば、目の前の株価下落だけで投資方針を変える必要があるのか、一度冷静に考えてみることが大切です。
もちろん、生活環境が変わったり、リスクを取りすぎていたことに気付いたりした場合は、投資額や資産配分を見直すことも必要です。
大切なのは、「何があっても絶対に売らない」ことではありません。
「感情だけで売買しない」ことです。
■投資の握力を高めるために
私が考える「握力」を高めるために大切なことは、次の5つです。
今回は投資している人を前提に話を進めていますが、これから投資する人は②の投資目的を決めるを
一番先に考えましょう!
① 自分が何に投資しているか知る
S&P500なのか。
オルカンなのか。
個別株なのか。
まずは自分の投資先を理解しましょう。
② 投資目的を決める
老後資金なのか。
教育資金なのか。
早期リタイアなのか。
目的を明確にします。
③ 目標金額と期限を決める
「いつまでに、いくら」
を具体的にしてみましょう。
④ 無理のない投資額にする
NISAの非課税枠をすべて使い切ることが目的ではありません。
生活を守りながら、長く続けられる金額を投資しましょう。
⑤ 暴落を事前に想定しておく
「株価が30%下落したらどうする?」
「50%下落したら?」
ということを事前に考えておくと、実際の暴落時にも冷静になりやすくなります。
■後編まとめ
今回は、「長期投資を続けるための握力」について紹介しました。
毎月5万円を年率7%で積み立てるというシミュレーションでは、
- 10年後:約865万円
- 20年後:約2,600万円
- 30年後:約6,100万円
という資産額になります。
もちろん、年率7%は保証された数字ではありません。
実際の株式市場では、上昇する年もあれば、大きく下落する年もあります。
それでも、
「時間を味方につける」という長期投資の考え方を理解することは非常に重要です。
そして、もう一つ大切なのが、「なぜ投資をするのか?」という目的です。
「何となく老後のため」ではなく、「何年後に、いくら必要なのか?」まで考えてみる。
そうすることで、毎月の積立投資にも意味が生まれてきます。
私自身は、55歳で早期リタイアし、自由な時間を増やすという目的のために、
55歳までに1.5億円という目標を設定しています。
そのために、長期・積立・分散を基本として、できるだけ長く市場に居続けたいと考えています。
もちろん、途中で目標や生活環境が変われば、投資方針を見直すことも必要です。
大切なのは、
「何があっても売らない」ことではなく、「自分の投資目的とルールを理解した上で、冷静に判断すること」
だと思います。
暴落が来たとき、
「自分は何を持っているのか?」
「なぜ持っているのか?」
「何のために投資しているのか?」
を思い出せるようにしておく。
それが、長期投資における「握力」を高めることにつながるのではないでしょうか。
NISAは、短期間でお金持ちになるための制度ではありません。
焦らず、無理をせず、生活を守りながら、長い時間をかけて資産を育てていく。
そして、「何となくNISA」から「目的を持ったNISA」へ。
これを意識するだけでも、長期投資への向き合い方は大きく変わると思います。
皆さんもぜひ一度、
「自分は何のために投資をしているのか?」
を考えてみてください。
そして、自分なりの目標を持って、長期投資を続けていきましょう。
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※本記事は筆者個人の投資経験・考え方を紹介するものであり、特定の投資信託・銘柄の購入を推奨するものではありません。投資判断はご自身の資産状況、リスク許容度、ライフプランなどを踏まえて慎重に行ってください。
当ブログでは、短期売買ではなく、中長期的な視点に基づく株式投資を主なテーマとして取り上げていきます。
免責事項
この記事は、投資収益の保証、特定の商品の勧誘、売買の推奨等を目的としたものではありません。最終的な投資や契約の決定はご自身で判断してください。

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