情報更新日:2026年10月4日
※本記事は、公開後も必要に応じて内容を見直し、情報を更新しています。
■はじめに

個別株へ投資するとき、
「この会社はこれから成長しそう!」と思って株を購入することもあると思います。
もちろん、
- 知名度が高い
- 株主優待に魅力を感じる
- 商品やサービスが好き
- 応援したい会社である
といった理由から企業に興味を持つことも、投資を始めるきっかけの一つです。
しかし、大切なお金を投資するのであれば、
「その会社がどのような事業で利益を生み出しているのか」
「財務状況に問題はないか」
「現在の株価は企業の業績などと比べてどうなのか」
といった企業の中身についても確認しておきたいところです。
個別株を分析する方法として代表的なのが、
- ファンダメンタルズ分析
- テクニカル分析
です。
この記事では、そのうち企業の業績や財務状況などを分析する「ファンダメンタルズ分析」について、投資初心者の方にも分かりやすく解説します。
■ファンダメンタルズ分析とは?
ファンダメンタルズ分析とは、企業の業績や財務状況、事業内容などを確認し、企業の価値や将来性、現在の株価水準などを考えるための分析方法です。
例えば、
- 売上高
- 利益
- 資産・負債
- 自己資本
- キャッシュフロー
- PERなどの株価指標
- 事業内容
- 競争力
- 今後の成長戦略
などを確認します。
簡単に言えば、
「この会社はどのように利益を生み出しているのか?」
「財務状況はどうなっているのか?」
「今後も利益を生み出していけそうか?」
といったことを調べていく分析です。
人間に例えるなら、企業の健康診断をするようなイメージです。
ただし、財務状況が良い企業だからといって、将来の株価上昇が保証されるわけではありません。
株価は企業業績だけでなく、金利、景気、為替、市場全体の需給、投資家の期待など、さまざまな要因によって変動します。
ファンダメンタルズ分析は、将来の株価を正確に予測するためのものではなく、投資判断に必要な材料を増やすための方法の一つと考えておくことが大切です。
■テクニカル分析との違い
ファンダメンタルズ分析とよく比較されるのが、「テクニカル分析」です。
大まかな違いは次のようになります。
| 項目 | ファンダメンタルズ分析 | テクニカル分析 |
|---|---|---|
| 主な分析対象 | 企業の業績・財務・事業内容など | 株価・出来高など |
| 確認するもの | 決算、有価証券報告書、財務指標など | 株価チャート、移動平均線、出来高など |
| 主な目的 | 企業や株価水準を分析する | 株価の動きや売買タイミングを分析する |
| 特徴 | 企業そのものを分析する | 市場での値動きを分析する |
イメージとしては、
ファンダメンタルズ分析 →「どのような企業なのか」を調べる
テクニカル分析 →「株価がどのように動いているのか」を調べる
という違いがあります。
どちらか一方だけが正解というものではありません。
私自身は中長期で個別株へ投資することが多いため、まず企業の事業内容や財務状況を確認したうえで、株価やチャートも確認するようにしています。
■日本企業を調べるならEDINETを活用
私が日本企業の財務状況を確認するときに活用しているのが、EDINET(エディネット)です。
EDINETとは、金融庁が運営する金融商品取引法に基づく開示書類の電子開示システムです。
企業などが提出する、
- 有価証券報告書
- 半期報告書
- 有価証券届出書
- 臨時報告書
- 大量保有報告書
などの開示書類を確認できます。
EDINETは、企業の財務内容や事業内容などを正確・公平・適時に開示し、投資家が投資判断を行うための情報を提供することなどを目的とした金融庁のシステムです。
そのため、企業分析をするときには有力な一次情報源の一つになります。
EDINETで特に確認したい「有価証券報告書」
初心者の方にまず確認してほしいのが、有価証券報告書です。
有価証券報告書には、
- 主要な経営指標等の推移
- 事業の内容
- 事業等のリスク
- 経営者による財政状態・経営成績等の分析
- 財務諸表
- キャッシュフロー
など、企業を分析するうえで役立つ情報が掲載されています。
特に私が最初に確認しているのが、「主要な経営指標等の推移」です。
ここを見ることで、複数年度にわたる売上高や利益、純資産などの推移をまとめて確認できます。
1年分の数字だけを見るのではなく、複数年度の変化を見ることが企業分析では重要だと考えています。
『EDINET』の確認方法
① 金融庁のEDINET閲覧サイトを開く
② 書類検索から調べたい企業名などを入力する
③ 対象企業の「有価証券報告書」を開く
④ 「第一部 企業情報」→「第1 企業の概況」→「主要な経営指標等の推移」などを確認する
※EDINETの画面構成や名称は変更される場合があります。最新の表示に従って確認してください。


■私がファンダメンタルズ分析で確認している項目
ここからは、私が個別株を調べるときに確認している主な項目を紹介します。
すべての指標を一つずつ独立して判断するのではなく、複数の数字を組み合わせて企業全体を見ることを意識しています。
① 売上高
売上高は、企業が商品やサービスを提供することで得た売上の規模を表す指標です。
私は、
- 数年間でどのように推移しているか
- 急激な増減がないか
- 増減した理由は何か
などを確認しています。
売上高が増加していることは成長を考える材料の一つになりますが、売上高が増えているだけで企業の収益性が高いとは限りません。
利益と合わせて確認することが大切です。
② 営業利益・経常利益
企業の収益力を見るうえでは、利益の推移も重要です。
営業利益は主に本業から生み出した利益を見るための指標です。
経常利益は営業活動による利益に加え、受取利息や支払利息などの営業外損益を反映した利益です。
私は売上高だけでなく、「売上が増えた結果、利益も増えているのか」という点を確認しています。
③ 当期純利益
当期純利益は、税金などを反映したあとに最終的に企業に残る利益です。
EPS(1株当たり利益)やPERなどを考えるうえでも重要になります。
ただし、一時的な特別利益・特別損失などによって大きく変動する場合もあります。
そのため、数字だけでなく、なぜ利益が増減したのかも確認することが大切です。
④ 純資産・総資産
総資産は、企業が保有する資産全体の規模を示します。
一方、純資産は資産から負債を差し引いた部分などで構成され、企業の財務状況を見る材料になります。
私は、
- 総資産
- 純資産
- 負債
- 自己資本比率
などを組み合わせて確認しています。
⑤ 自己資本比率
自己資本比率は、企業の財務状況を見る代表的な指標の一つです。
自己資本比率が高ければ一般的に財務上の余力を考える材料になりますが、「○%以上なら安全」という一律の基準で判断することはできません。
銀行などの金融業と製造業では財務構造が大きく異なるためです。
そのため私は、同じ業界の企業との比較や、その企業自身の過去からの推移を見るようにしています。
⑥ PER(株価収益率)
PERとは、Price Earnings Ratio(株価収益率)の略です。
一般的には、PER = 株価 ÷ 1株当たり利益(EPS)で計算されます。
例えば、
- 株価:1,000円
- EPS:100円
であれば、PER=10倍となります。
PERは株価水準を考える代表的な指標ですが、
「PERが低い=必ず割安」
「PERが高い=必ず割高」
というわけではありません。
成長への期待が高い企業はPERが高くなる場合がありますし、業績悪化への懸念からPERが低くなっている場合もあります。
そのため、
- 過去のPER
- 同業他社のPER
- 利益成長率
- 今後の事業見通し
などと組み合わせて考えることが重要です。
PERについては別の記事で詳しく解説します。
⑦ 配当性向
配当性向は、企業が利益のうちどの程度を配当として株主へ還元しているかを見るための指標です。
配当性向が高ければ良い、低ければ悪いという単純なものではありません。
成長企業では利益を事業へ再投資するため、配当性向が低いこともあります。
一方で、配当性向が非常に高い状態が続いている場合には、現在の配当を継続できるのか確認する必要があります。
■キャッシュフローも確認する
利益だけでなく、実際のお金の流れ(キャッシュフロー)も企業を見るうえで重要です。
キャッシュフロー計算書では、主に次の3つを確認できます。
① 営業活動によるキャッシュフロー
本業などの営業活動によって、どの程度現金を生み出しているかを見る項目です。
継続的に現金を生み出せているかを確認する材料になります。
ただし、一時的な運転資金の増減などによってマイナスになることもあるため、1年だけで判断しないことが大切です。
② 投資活動によるキャッシュフロー
設備投資や有価証券の取得・売却など、投資活動に伴う現金の動きを表します。
成長のために積極的な設備投資を行っている企業では、大きなマイナスになる場合もあります。
そのため、マイナス=悪い企業とは限りません。
何にお金を使っているのかまで確認します。
③ 財務活動によるキャッシュフロー
借入金の調達・返済、社債、配当金の支払いなど、資金調達や株主還元に関する現金の動きを確認できます。
営業・投資・財務の3つを組み合わせることで、企業のお金の流れをより立体的に把握できます。
■現金及び現金同等物の期末残高
企業が期末時点でどの程度の現金・現金同等物を保有しているのかも確認しています。
現金を一定程度保有していることは、企業の資金繰りなどを考える材料の一つになります。
ただし、「現金が多い=必ず良い企業」というわけではありません。
企業によって必要な現金水準は異なり、余剰資金を成長投資や株主還元にどのように活用しているかも重要です。
■数字だけでなく「事業内容」と「リスク」も確認する
ファンダメンタルズ分析というと、PERや売上高などの数字に注目しがちですが、数字だけでは分からないこともあります。
有価証券報告書を見るときには、
「事業の内容」
「事業等のリスク」
なども確認しておきたい項目です。
例えば、
- どの事業で利益を生み出しているのか
- 特定の商品や地域への依存度は高くないか
- 為替の影響を受けやすいか
- 原材料価格の影響は大きいか
- 競争環境はどうなっているか
- 今後どの事業へ投資しようとしているか
などです。
数字と事業内容を組み合わせて確認することで、企業への理解が深まります。
■企業のIR情報も確認しよう
EDINETだけでなく、企業自身が公開しているIR(Investor Relations:投資家向け情報)も参考になります。
企業のIRページでは、
- 決算短信
- 決算説明資料
- 中期経営計画
- 適時開示資料
- 統合報告書
などが掲載されている場合があります。
私は、
EDINETの有価証券報告書+企業公式IR
を中心に確認し、そのうえで必要に応じてニュースなどを確認するようにしています。
SNSや個人ブログにも参考になる情報はありますが、投資判断に関わる重要な数字については、できるだけ企業や公的機関が公表する一次情報まで確認することを意識しています。
■実際に私がファンダメンタルズ分析をして購入した銘柄
私自身、以前は投資関連の雑誌で紹介されていた銘柄を十分に分析せず購入し、含み損を抱えた経験があります。
その経験から現在は、個別株を購入する前に、企業の業績や財務状況、PERなどを自分なりに確認するようになりました。
実際にファンダメンタルズ分析を行ったうえで購入した銘柄の一つが、東証グロース市場に上場している『Aiロボティクス(247A)』です。
私がこの企業に興味を持った理由の一つが、比較的少ない従業員数でありながら、売上高・利益を大きく伸ばしていたことです。
そこでEDINETの有価証券報告書を使い、過去5期について、
- 売上高と前年比成長率
- 利益と前年比成長率
- PER
- 自己資本比率
- 営業キャッシュフロー
- 投資キャッシュフロー
- 従業員数
などを確認しました。
2026年3月期には、売上高293.6億円、営業利益38.0億円、当期純利益26.5億円となり、売上高は前年同期比106.7%増、営業利益は53.3%増、当期純利益は55.9%増となっています。
一方、2026年3月末時点の従業員数は36人でした。(従業員を掲載したのはこの売上規模に対して従業員が少なかったことに驚いたためです)
また、私が事業面で注目したのが、独自開発のAIシステム「SELL(セル)」です。
Aiロボティクスでは、SELLをD2Cブランド事業の商品開発、需要予測、広告運用、CRMなどに活用しており、私はこうした仕組みが同社の特徴の一つになっていると考えました。
ただし、成長率が高いからという理由だけで購入したわけではありません。
私は「成長性に対して現在の株価はどの程度まで評価されているのか」という点も確認しました。
2026年5月13日の決算発表後、株価は大きく下落し、5月13日の終値1,372円から5月20日には779円まで下落しました。
私が購入を検討した5月20日時点では、予想PERもデータ提供元によって差はあるものの、おおむね10倍台後半まで低下していました。
グロース株として高い成長率を示している一方で、私が想定していたほどPERが高くない水準まで株価が調整したと考え、購入を判断しました。
テクニカル面では、この時点の株価は短期・中期の移動平均線を大きく下回っており、「移動平均線が下支えになったから購入した」という場面ではありませんでした。
そのため今回は、チャートだけで反発を予測したのではなく、業績・事業内容・バリュエーションを確認したうえで、決算後に株価が大きく調整したタイミングで購入したというのが実際の判断に近いです。
もちろん、Aiロボティクスにもリスクがあります。
グロース株は将来の成長期待が株価に織り込まれやすく、金利上昇や地政学リスク、市場全体のリスク回避などによって、企業業績とは別の要因で株価が大きく下落する可能性があります。
また、実際の2026年3月期には営業キャッシュフローがマイナスとなっており、私は売上高や利益の成長だけで企業を判断しないことも重要だと考えています。
そのためAiロボティクスは資産形成の中心ではなく、コア・サテライト戦略におけるサテライト枠の個別株として保有しています。
このように私は現在、単に「成長しそうだから買う」のではなく、
企業の成長性を見る → 財務・キャッシュフローを確認する → PERなどから株価水準を考える → リスクを確認する → 最後にチャートも確認する
という流れを意識しています。
ファンダメンタルズ分析をしたから株価が上昇するわけではありません。
それでも私にとっては、「なぜこの企業に投資するのか」を自分の言葉で説明できる状態にしてから購入することが、以前の投資方法から変わった大きな点です。
■株価だけではなく企業の中身を見る習慣をつけよう
株価は、現在の業績だけで決まるわけではありません。
将来の業績への期待や景気、金利、為替、市場全体の需給など、さまざまな要因が株価へ影響します。
AIや半導体など注目度の高いテーマでは、将来への期待から株価が大きく変動することもあります。
また、将来株価が大きく上昇する企業を事前に正確に見つけることは簡単ではありません。
だからこそ私は、個別株を検討するときには、株価の動きだけでなく、
- 企業はどのように利益を生み出しているのか
- 売上・利益はどう推移しているのか
- 財務状況はどうなのか
- キャッシュフローはどうなのか
- どのようなリスクを抱えているのか
を確認するようにしています。
私自身、個別株を購入する前にはEDINETの有価証券報告書や企業のIR情報を確認しています。
もちろん、これらを確認したからといって投資が成功するわけではありません。
それでも、「なぜこの企業へ投資するのか」を自分なりに考えるための材料にはなります。
株価だけを見るのではなく、企業の中身を見る習慣を身につけていきましょう。
■まとめ
ファンダメンタルズ分析とは、企業の業績・財務状況・事業内容などを分析し、企業や現在の株価水準について考えるための方法です。
私自身が個別株を検討するときには、EDINETの有価証券報告書や企業のIR情報を確認し、複数年度の推移を見るようにしています。
特に確認しているのは、
- 売上高
- 営業利益・経常利益
- 当期純利益
- 純資産・総資産
- 自己資本比率
- PER
- 配当性向
- キャッシュフロー
- 現金及び現金同等物
- 事業内容・事業等のリスク
などです。
ただし、一つの指標だけで企業の良し悪しを判断することはできません。
PERが低いから割安、自己資本比率が高いから安全、売上高が伸びているから将来も成長する、と単純に判断するのではなく、複数の情報を組み合わせて考えることが重要です。
また、どれだけ詳しく企業分析を行っても、将来の株価や企業業績を正確に予測することはできません。
ファンダメンタルズ分析はあくまで、投資判断の材料を増やすための方法の一つとして活用していきましょう。
■次におすすめの記事
次は「PER(株価収益率)とは?」へ
ファンダメンタルズ分析の基本を理解したら、次は企業の株価が利益に対してどの程度の水準にあるのかを見る代表的な指標、「PER(株価収益率)」について学んでみましょう。
PERは個別株を分析する際によく使われる指標の一つですが、数字だけを見て「割安・割高」と判断するのではなく、企業の成長性や業種などとあわせて考えることが大切です。
▶ PER(株価収益率)とは? ~初心者に分かりやすく解説~

あわせて読みたい
・筆者の株式投資勉強法

・テクニカル分析とは?

■参考・情報源
本記事の作成・更新にあたり、以下の公的機関等の情報を参考にしています。
金融庁「EDINETについて」
EDINETの概要、有価証券報告書等の電子開示制度について
https://www.fsa.go.jp/search/20130917.html
金融庁「EDINET(電子開示)・各種情報検索サービス」
EDINET閲覧サイトや最新情報について
https://www.fsa.go.jp/search/
金融庁「2026年版EDINETタクソノミ」
現在の有価証券報告書・半期報告書等のEDINET開示体系について
https://www.fsa.go.jp/search/20251111.html
日本取引所グループ(JPX)
上場会社・株式市場・投資に関する各種情報
https://www.jpx.co.jp/
※企業を個別に分析する際は、EDINETに加えて、各企業が公式サイトで公表している有価証券報告書、決算短信、決算説明資料、適時開示資料などの一次情報も確認しています。
■免責事項
本記事は、株式投資や企業分析に関する一般的な情報の提供と、筆者個人の経験・考え方を紹介することを目的としています。
特定の企業・銘柄・金融商品について、投資収益を保証したり、購入・売却を推奨したりするものではありません。
株式投資には、株価下落、企業業績の悪化、倒産、為替変動などによって元本割れが生じる可能性があります。
また、本記事で紹介しているPER、自己資本比率、キャッシュフローなどの指標のみで、企業の将来性や株価の上昇・下落を判断することはできません。
掲載内容については正確性の確保に努めていますが、制度・法令・市場環境・企業情報などは変更される場合があります。最新情報については、金融庁、EDINET、日本取引所グループ、各企業の公式IR情報などをご確認ください。
最終的な投資判断は、ご自身の目的・資産状況・リスク許容度などを踏まえて、ご自身の責任で行ってください。
AI生成コンテンツについて
当サイト「株-STUDY」で使用している一部のアイキャッチ画像、イラスト、4コマ漫画等は、生成AIを活用して制作しています。
これらの画像は、記事内容をより分かりやすく伝えることを目的として当サイト運営者が企画・編集したものです。
なお、記事本文については、運営者自身の知識・経験および信頼できる情報源をもとに作成・確認しています。


コメント